感染力が強いウイルスが原因

ウイルスのイメージ

ヘルペスは水痘が集まった状態で、ヘルペスウイルスによる感染症です。
ヘルペスの原因であるウイルスは約100種類もありますが、人に感染するウイルスは8種類になります。
感染したウイルスによって発症する場所、症状が違ってきます。
ヘルペスには、単純疱疹(単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型)と帯状疱疹(水痘・帯状疱疹ウイルス)の2種類があります。
一般的には帯状疱疹が、よく知られているヘルペスになります。
ヘルペスウイルスは世界中に普通にあるウイルスで帯状疱疹ウイルスはほとんどの人が口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス1型)では日本人の70~80%の人が感染しているといわれています。

昔は親、祖父母など家族間の頬ずりやキス、同じ食器による食事などで1~4歳までの間にほとんどの人が感染しています。
そのため幼少期にはすでに抗体をもち、大人になって再発しても重症化することはほとんどありません。
しかし近年の核家族化、衛生面の改善で10歳の抗体保有率が6人に1人まで減少して、大人になって感染すると重症化するケースが増えています。
この最も小さな生き物のヘルペスウイルスは、核酸とたんぱく質だけでできています。
自分では子孫をつくることができず、他の生物の細胞の中に入りこんでそのまま細胞の材料から自分の子孫(コピー)をつくり増殖していきます。
症状があらわれている時期は、ウイルスを大量に排出しています。そのため、この時期に接触すると初感染者はもちろんヘルペス抗体があっても体力がおちている場合は、ヘルペスに感染する確率が高くなります。

このヘルペスウイルスは、皮膚の小さな傷や粘膜から体内に入りこみます
とくに感染力の強い口唇ヘルペスは傷や湿疹であったりアトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が低下している人、風邪や疲れ、ストレスで免疫力の低下している人は注意が必要ですが、元気に見えても感染する場合があります。
ウイルス分子をどんどん複製して増殖している時が感染力が高く、皮膚細胞から神経を経由して神経節に潜伏します。
すぐに発症する人、感染しても自覚症状のあらわれにくい人、何年もたってから発症する人、何度も再発を繰り返す人、感染しても症状がまったくでない人などいろいろです。
ヘルペスウイルスのしつこさは一旦回復しても終生神経の中で人間とともに存在しています。
神経を好むウイルスですが、単純ヘルペスウイルス1型、2型と帯状疱疹のウイルスでは、症状のあらわれ方が違います。

単純ヘルペスはDNAの状態で潜伏しているため、発症すると神経細胞の内部に移動します。
内部のため移動が素早く免疫機能のチェックを逃れて、何度でも再発します。
一方帯状疱疹は神経細胞の外部を拠点とするため、発症して増殖すると神経に沿って皮膚症状があらわれます。神経へのダメージが強く皮膚症状が広範囲になるため、免疫機能が働いて症状が治まると再発率が少ないといわれています。
感染力の強いウイルスでも細胞をはなれると寿命が短く、長くても3時間ほどの生存になります。
そのため共有している生活用品に長時間ウイルスが付着していることはありませんが、症状のある人の食器、タオルは使い分けた方が安全です。
研究データでは布製品で1時間、プラスチック製品ではおよそ3時間になっています。

ヘルペスに感染したことが判ればバルトレックスという薬で治療することになります。
バルトレックスはバラシクロビルが含まれた医薬品で、ヘルペスウイルスの増殖を抑える働きをします。
バルトレックスやバラシクロビルについては後日詳しくブログを更新したいと思います。

単純ヘルペスウイルス1型が原因の症状

単純ヘルペスウイルス1型と2型の2つあるヘルペスウイルスは、初感染の場合は1型、2型にかかわらず身体のどこにでも感染します。
そこで水ブクレなどの諸症状があらわれますが、1型と2型では潜伏する神経節が違います。
そのため再発時には症状のあらわれる場所が変わってきます。
日本人の7割以上の人が感染している単純ヘルペスウイルス1型は三叉神経に入りこみ、その支配域である上半身の顔、口唇、眼、皮膚に病変をおこします。
単純ヘルペスウイルス1型は一度発症すると再発率は低いものの、発症時には強い痛みが特徴です。

肌に異常を感じる男性

一番はじめにおこる症状として皮膚にピリピリ、チクチクなどの違和感、かゆみ、火照り、痛みを感じます。
そのあと一部が赤くなり発疹があらわれ、発疹だけで終わる人も希にいます。
この発疹は小さな水痘になりかゆみ、火照り、痛みが強くなって破れてかさぶたになります。
およそ2週間前後で治まってきますが抗体のない初感染の場合は、広範囲に大きめの水痘が多発して発熱、リンパ腺が腫れるなどさらに激しい症状になります。
風邪、ストレスや疲れが原因で免疫力が低下している場合ヘルペスの再発は、皮膚のヒリヒリ感、痛がゆさなど不快感がありますが、2~3日で水痘、発疹がでて2週間ほどで回復し比較的軽症になります。
この単純ヘルペスウイルス1型は口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、咽頭炎、角膜ヘルペス、ヘルペス脳炎、カポジ水痘様湿疹などの原因になります。
口唇ヘルペスは口や唇の周りに痛みをともなうかゆさがあって、不快感が続き数時間から数日で赤い発疹、水痘があらわれます。
2週間程度で治りますが、免疫力がおちていると発熱、リンパ腺の腫れなどをともないます。
人をよって年に数回同じ時期に繰り返す人もいます。

ヘルペス性歯肉口内炎は口の中に痛みがともなう水痘があらわれ、破れて炎症をおこします。
発熱が2~5日続き高熱をともなうこともあります。
発熱後2~3日で歯肉が腫れて口の中だけでなく口周辺にも水痘ができることもあり、痛みは1週間続きますが2週間ほどで回復します。
咽頭炎は口の中だけでなく咽頭にも小さな水痘ができ、破れて口内炎になることもあります。
痛みが強いところが特徴で、唾液をのみこむこともつらいほどの咽頭痛、燕下痛、発熱がおこります。
食事や水がとりにくく塗り薬が使えないため、体力が消耗して治りにくくなります。

角膜ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型が角膜に感染することが原因で、片側の目にあらわれますが両目にでることもあります
黒目の部分に潰瘍ができてゴロゴロする違和感、充血、物が見えにくくなります。
潰瘍が大きくなると治りにくく3週間以上かかることがあり、再発しやすいため最悪失明することもあります。

ヘルペス脳炎は突然あらわれる意識障害、発熱、けいれん、発作などで、異常行動もみられます。
単純ヘルペスウイルス1型が神経細胞で増殖して、神経系の細胞を破壊する原因で発症するこわい病気です。
重い神経症状は死に至り、後遺症が残る場合もあります。
小児ではインフルエンザ脳症よりも症例が多く注意が必要です。発症年齢は6歳未満が多くなりますが、どの年齢層でもおこります。
カポジ水痘様湿疹は突然38度以上の高熱をだし全身に倦怠感、かゆみを感じ、顔面、性器、目、脳からなどに水痘が広がります。5歳までの子供に多くみられますが、単純ヘルペスウイルス1型とアトピー性皮膚炎と合併して発症すると大人でも感染します。

単純ヘルペスウイルス2型が原因の症状

単純ヘルペスウイルス2型は腰の部分にある仙骨神経節に入りこんで、生器ヘルペスなどの下半身で再発を繰り返します
単純ヘルペスウイルス2型は性的な接触によって感染し、性器やお尻の周辺に病変があらわれる性感染症の一つです。
単純ヘルペスウイルス1型に感染していても単純ヘルペスウイルス2型に感染することはありますが、単純ヘルペスウイルス2型に感染していると単純ヘルペスウイルス1型に感染するはありません。

ベッドで眠るカップル

日本ではおよそ10%ほどの感染者がいるといわれています。
男性より女性に多く約2倍といわれています。
先に単純ヘルペスウイルス1型に感染している人が単純ヘルペスウイルス2型に感染しても明らかな症状がでない場合があります。
しかし初感染で単純ヘルペスウイルス2型に感染した場合は、ひどい症状があらわれます。
男性の場合は原因となる接触感染から2~10日間の潜伏期間の後、発症します。
主に亀頭、陰茎全体に多発性の小水痘があらわれ3~5日後に水痘が破れて潰瘍をつくります。太もも、お尻、肛門周辺、直腸粘膜まで広がることもあります。
初感染では症状が強く、尿道にも病変があらわれます。
痛みをともない全身の倦怠感、そけい部リンパ節の圧痛もおこります。潰瘍から二次感染で他の菌が侵入すると粘膜まで炎症が拡大することがあります。
男性は再発率が高く、50%以上が3ヵ月以内に再発しています。
女性の発症部位は外陰部、膣の入り口、お尻また、子宮頸部や膀胱などです。感染してから2~10日は症状のない潜伏期間になり、この後発症します。
38度以上の発熱、感染部位に強いかゆみがあって直ぐに小さな水痘が密集してたくさんあらわれ、その水痘が破裂してびらん、潰瘍になります。女性は痛くて排尿ができないほどで、脚のそけい部のリンパ節が腫れて痛みをともないます。
処置をしないと3週間、薬物使用で1週間ほどで回復します。

初感染してから数ヶ月で再発することもあります。
再発は仙骨神経節に潜伏していた単純ヘルペスウイルス2型が様々なきっかけで再活動するもので、他から感染したウイルスではありません。
女性はストレス、月経前に再発することが多くなっています。
女性の場合の再発は発熱がなく、痛みやかゆみが軽くあまり強い症状があらわれません。
そのためパートナーに感染する可能性が高いという問題があります。

また出産時に産道でウイルスが増殖すると、新生児ヘルペスを発症する母子感染の原因になるため帝王切開が必要になる場合があります。
単純ヘルペスウイルス2型は初感染であっても、1型の抗体がある場合、下半身の発疹が少しある人、下半身の違和感を少し感じる人、まったく症状のあらわれない人もいます。
単純ヘルペスウイルス2型は、とてもしつこく再発するため、再発時に発症して気がつく場合もあります。
単純ヘルペスウイルス2型の再活動するきっかけは発熱、性交渉、過労、ストレス、紫外線、歯科治療などになります。
発熱、性交渉、過労、ストレスは免疫力を低下させ、再活動させてしまいます。
紫外線は皮膚に与えるダメージが原因で免疫機能を下げ、歯科治療では麻酔注射や神経を抜く時の刺激がウイルス再発のきっかけになります。

水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の症状

帯状疱疹は、身体の中に潜んでいるヘルペスウイルスの一種の水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症します。身体の左右どちらか一方にピリピリ、チクチクとさすような痛みからはじまります
やがて赤い発疹、小さい水痘が帯状にあらわれてきます。
一度に2ヶ所以上にあらわれることはありませんが、多くの場合強いさすような痛みをともないます。その痛みは衣類と触れるようなわずかな刺激にもピリピリして、不眠症になるほどです。
水痘が破れてかさぶたになっておさまります。痛みがあらわれ始めてから、かさぶたになって治るまで約38週間から1ヵ月ほどかかります。
子供の頃水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。初めて私達が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、水ぼうそうを発症します。
この水ぼうそうが治った後も水痘・帯状疱疹ウイルスは体内の神経節に潜んでいます。

発症する原因は加齢、ストレス過労などになります。水痘・帯状疱疹ウイルスを抑える免疫力が低下すると再活動をはじめます。発疹する年齢は60代が中心で、50~70代に一番多くみられます。
通常生涯に一度しか発症しませんが、極度の免疫力低下で再発することが希にあります。
症状があらわれる部位は左右どちらかの神経にそって帯状に発症して、胸から背中にかけてが最も多く全体の半数以上が上半身に発症します。その他顔面、眼の周囲も発症しやすい部位になります。
水痘・帯状疱疹ウイルスは帯状疱疹の患者から水ぼうそうにかかったことがない乳幼児に水ぼうそうとして感染することはありますが、人の帯状疱疹をうつすことはほとんどありません。

しかし希に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染する場合があります。感染しやすい人、感染してはいけない人には、水ぼうそうにかかったことがなく予防接種をしていない人、HIV感染症やステロイドを長期内服している免疫力の弱い人、妊婦、子供などです。
妊婦が帯状疱疹に感染すると赤ちゃんに先天性水痘症候群や新生児水痘という危険を及ぼす可能性があります。そこで妊娠する前に、ワクチンをうっておくと予防になって安心です.
しかし妊婦が帯状疱疹を発症した場合は、赤ちゃんへの影響はありません。

水痘・帯状疱疹ウイルスで帯状疱疹になり強力な痛みは、皮膚症状が回復しても痛みだけが残りいつまでも続く場合があります。
それを帯状疱疹後神経痛といって高齢者に多く、高齢者は回復が困難なためにこの帯状疱疹後神経痛が残りやすいといわれています。
水痘・帯状疱疹ウイルスが原因になる感染症に、ハント症候群があります。ハント症候群の主な症状は顔面神経麻痺、耳の中や耳周囲の疱疹、難聴、耳なり、めまいなどがあります。

中でも初期症状として一番多いのは、顔面の片側だけの麻痺になります。
ある日突然顔の片側が動かなくなり、顔が引きつって歪みます。顔面神経麻痺をおこして水痘・帯状疱疹ウイルスが脳神経まで広がると片側の耳が赤くなり、耳の中、耳の周りに水痘やかさぶたがあらわれます。
中には顔面神経麻痺と同時に発症することあります。内耳神経が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、耳が激しく痛んだり、音が聞こえにくくなったり、耳鳴りの症状が強くあらわれることがあります。身体のふらつき、めまいをともない、聴覚が低下することもあります。